交通事故によって引き起こる精神的反応として、急性ストレス障害やパニック障害などがあります。そしてこれらの症状と同時に起こる病が、解離性障害です。解離性障害は虐待やいじめなどが原因となる場合がありますが、交通事故がきっかけとなってしまうケースもあります。また、交通事故の直後によく見受けられる代表的な精神的反応の一つでもあります。

　症状としては「事故当時の記憶を何一つ覚えていない」「時間の経過が遅く感じる」「現実なのか夢なのか分からなくなる」などが挙げられます。事故によるショックやストレスは本人の心にとって大きな負担となるため、心の病を発症する割合は決して少なくありません。またこうした行動は、受け入れられない現実から自分の心を守るための手段でもあります。そのため、解離の反応はある意味当然とも取れるものなのです。周囲はそれを理解した上で、余計なストレスを与えずに温かく包み込んであげることが大切です。解離症状というのは、悪化することで「うつ病」や「PTSD」を発症する可能性も十分考えられるので注意が必要です。

　交通事故が原因で辛い症状に悩まされている人は、世の中に多く存在します。事故当時の悲惨な光景やそれに伴う恐怖は、体験した本人でなければ分かりません。このようなストレスを少しでも緩和していくためには、周りの協力が必要不可欠です。さらに本人が小さい子供の場合には、両親が心のケアをしっかりと行うことが大切です。